大雪の東北駅弁行脚(前編)

2005年12月23日04時45分、気象庁予報部発表によれば、

「東北地方日本海側や北陸地方では、24日にかけて引き続き大雪のおそれがあります。・・・各地で記録的な積雪となっており・・・大陸からは上空5200メートル付近で氷点下42度の寒気が南下しており、23日夜遅くには本州の日本海側に近づき、24日は東北地方から東日本の上空を通過する見込み・・・。」

こんな予報を知りつつも、行くと決めた東北駅弁行脚。いつものように三島始発6時26分「こだま700号」で東京に行き、ここからはお目当ての列車にというパターン。今回は上野へ出て8時ちょうどの「スーパーひたち7号」に乗り換えました。ある意味、雪を避けた選択。5月の時と同じ行程ですが、この時はいわき駅の住吉屋さんが撤退する直前でした。あれから半年、名物の「うに弁当」は水戸駅の鈴木屋さんに引き継がれ、同じく水戸駅弁の芝田屋弁当さん、日立駅弁の海華軒さんまで進出してきたいわき駅。しかし、この日はそんないわき駅を尻目に女性立売がいることでも知られる原ノ町駅へと急ぎました。

   
原ノ町の一つ前の駅で上り「スーパーひたち32号」とすれ違いのため停車。まさに東北らしくない快晴の天候。しかも、太平洋側だけに、雪のかけらもありません。

最初に左の駅名標を見て、あれ? あれれ? なんか変だぞ。あわてて反対側のホームを見たら、そう、そうですよね。「原ノ町」でした。田舎にはよくこういう駅名標へのいたずら、ありますよね。不謹慎と言われればそれまでですが、こんなのを見るのも旅の一興かと。。。

     

さて、実に27年ぶりに食べた原ノ町駅「鮭めし」。今回は加熱式のものを選択、というか、昔のタイプはなくなってしまったみたいです。それはコレ↓です。1978年に駅弁大会で購入。蓋が鮭の形をした陶器入りの駅弁でした。鮭の炊きこみ御飯で、おかずはすじこ、錦糸卵、椎茸など。
  
                  

実は今年2005年6月、鮭の形をした陶器が愛らしく、その昔に京王駅弁大会などで人気だったこの「鮭めし」が、原ノ町市「食の文化」市史の取材過程で、記録の必要性から再現されたそうです。容器も昔ながらの鮭の形をした陶器の蓋を使用。関係者はひとときのノスタルジアに浸ったと言うことでした。駅弁は地元新田川のサケを生かし、丸屋が1955年頃に売り出したそうでしたが、第2次石油ショックの影響で容器価格が駅弁600円を上回るほど高騰し、販売中止に追い込まれたそうです。そのまま復活して欲しいですが、それは甘そうですね。画像が残っていないのがつくづく残念です。

さて、ノスタルジックな感傷はこれくらいにして、さっそく中身を見てみましょう。  

       

      

      

加熱式なので、イクラが少し白みがかってきました。好き嫌いのない私ですが、個人的にはあまり好みません。実際に食べてみると、少し味に締まりがなくなったような印象を受けました。やはりイクラは生でプチッとした食感の方がいいなあ。しかし、これはこれで貴重な経験です。鮭の方はホクホクとして、椎茸の香りも食欲を増します。付け合わせの天ぷらにこの駅の「いなり天ざるそば」にも思いをはせながら、黙々と食べていきます。3連休の初日、珍しく11両全部で仙台まで行くこの特急列車の中で、心も体も温まる瞬間です。


 さらにこの旅を続ける  東北の駅弁リストに戻る