仙山圏創作駅弁2005

 
大雪の東北駅弁行脚(前編)その2

2005年12月23日、8時上野発の「スーパーひたち」で4時間23分、途中で日立や原ノ町の駅弁に舌鼓を打ちながら、雪のかけらもない仙台へとやって参りました。

今回の東北駅弁行脚には大きな目的が仙台にありました。それは「仙山駅弁」と呼ばれる産官学コラボ駅弁を調査すること。まずはその概要をご説明いたしましょう。


2005年10月、若い世代の交流促進を目的に、宮城大学と宮城学院女子大学の学生がアイデアを出し、NRE(日本レストラン仙台支社)とウェルネス伯養軒が調製した「仙山圏創作駅弁」3種が発売されました。これは仙台・やまがた交流連携の一環として、仙台・やまがたの食材や郷土料理を盛り込んで生まれた駅弁です。


駅弁創作は、食文化や歴史の違いを学生たちに知ってもらおうと、宮城県仙台地方振興事務所が企画。2005年7月に発表された学生たちの駅弁試作品は「仙山芭蕉めぐり」、「仙山スタイル」、「仙山がんこおやじ」の3点でしたが、駅弁業者3社が発表会に参加し、「仙山芭蕉めぐり」(NRE)はそのままのネーミング、「仙山スタイル」は「出逢い街道」(ウェルネス伯養軒)、「仙山がんこおやじ」は「がんこおやじ」(NRE)と名前を変え、内容も体裁も学生たちが発表したのとは多少異なった形にアレンジされ直して10月より発売されました。  

10月25日、TBS系ラジオ番組『日本列島ホット通信』駅弁対決(宮城vs静岡)に静岡代表として私が出演したとき、私は桃中軒の「港あじ鮨」を取り上げたのですが、宮城代表はこの「仙山駅弁」を取り上げました。また、私は地元の三島駅で日大生が創作した産官学コラボ駅弁「おおね御膳」制作にも少し関わったものですから、これら3つの駅弁には相当な興味と関心があったのです。そしてついに2005年12月23日のこの日、これらの駅弁を手にすることができました。

      

      

      

「仙山芭蕉めぐり」です。調製はNRE。1200円。
松尾芭蕉が訪れた仙台、山形地域をイメージして作ったお弁当で、なんとなく芭蕉の顔に見えるくるみ入り紅花寿司、牡蛎とホタテのチーズ焼き、菊のゴマ和え、山形名物おみ漬け、仙台名物小茄子漬け、生麩の牛肉巻き、山形産玉蒟蒻などの煮物、紫蘇巻きくるみ揚げ、仙台名物笹蒲鉾などが、所狭しと竹籠の容器に入っています。


      

      

      

こちらは伯養軒の仙山圏創作駅弁、「出逢い街道」。900円。
山形(紅花)、仙台(小女子)をイメージしたおにぎりに牛肉、生麩、玉こんにゃくのすき焼き、銀鮭の酒粕香味焼き、菊と大根の酢の物、蓮根の梅肉はさみ揚げ、そば団子のデザート。「塩の道、花の路」をテーマにした、「仙台山形越境膳」です。NREの2つに比べ、この駅弁の入手は難しいと思います。できれば予約するのがいいと思います。その場合、やはりNRE仙台支社022−227−4478に電話した方が早いです。



      

      

      

NRE「がんこおやじ」です。1000円。
仙台と山形をイメージして舟形にごはんを載せています。メインの揚げ浸しは銀鮭と野菜。その他、むきそばなめこ菊花和え、笹かまぼこわさび和え、牡蠣の味噌風味グラタン、芋こ煮など。NREの手がかなり加わった駅弁となりました。




日大生が作った三島の駅弁と比較した場合の印象を言わせてもらいますと、三島がズバリ「まず三島ありき」で、地域おこしをふまえた国際関係学から特産の「箱根大根」に絞り込み、それにとことんこだわって、若者たちの三島に対する思いが詰まった駅弁を作ったのに対し、仙山は食品栄養学が関わっているので駅弁としての全体的な完成度をまず重視し、その上で仙山のテーマに合った盛り合わせや食材の組み合わせを考えた料理駅弁を作ったような印象を受けました。

つまり、仙山はまず駅弁としての完成度を目指して大人っぽく理性的、三島は学生らしい地域への思いが前面に出ているような若々しく情熱的な駅弁とでも言いましょうか。

と言うことで、学生とのコラボレーションと言っても、国際関係学と、食品栄養学&事業構想学とではずいぶん性格の違った駅弁ができるのだなあと感心しました。


「仙山駅弁」を手にした私は、「はやて15号」に乗って、いよいよ雪の舞う東北地方に足を踏み入れますおっとその前に、仙台駅で珍しい駅弁を手に入れました。ご紹介したいと思います。

 
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