栃木駅弁メモリアルの旅4

2005年11月末でフタバ食品の九尾弁当総本舗が閉鎖されるということで、その前に黒磯駅弁を買いにいきました。なくなると言われると、無理してでも行ってしまうのは、典型的な鉄道ファンの姿であるかもしれません(苦笑)。


    

上は2005年11月19日、黒磯駅で購入した「九尾釜めし」。

           

益子焼きの釜に入ってます。鶏肉、椎茸、栗、山菜などが味ご飯の上に載っています。フタバ食品の駅弁は那須御用邸での天皇家御用達としても有名でした。

 

この掛け紙は2000年8月にこの釜めし(前身会社時代も含む)が1950年に売り出されてから50年経ったことを記念して、掛け紙を復刻させた形で発売されたものです。なお、昭和25年当時から益子焼の釜を使用していたかどうかについては不明です。

  

左上の掛け紙は1976年2月12日、東武浅草駅で購入しました。
そして右上は1968年4月28日。昭和天皇御用達となり、日本橋三越百貨店でも150円で買えた時代でした。当時、これらはフタバ食品の千葉工場で調製されていましたから、東京の駅や百貨店にも進出できていたのです。おそらくこの頃がこの駅弁の絶頂期だったのではないかと思います。しかし、会社はアイスクリームや冷凍食品部門に力を入れ出しました。もし千葉工場で駅弁作りをやめなければ、市場が大きかっただけに、また違った展開になったかもしれません。
現在、フタバ食品はアイスクリームや冷凍食品での業績が4分の3を占め、マロングラッセを入れると85%を超えます。残りの外食産業部門のうち、堅調なレストランに比べ、ローカル駅で細々と売られる駅弁の製造はお荷物でしかなかったのでしょう。下の掛け紙は1973年1月10日のもの。売価は200円でした。

          

下の画像のように「九尾弁当あつあつ釜めし」として加熱式駅弁に活路を見出そうとした時期もあったようですが、結局、広く知られることもないまま終了してしまいました。

 

「九尾の狐」伝説に肖って贅沢な食材を茶めしの載せることでスタートした「九尾の釜めし」。皮肉なことに、この駅弁自体が伝説となってしまいました。

              

しかし、このまま消えるにはあまりにも寂しい駅弁です。唯一の望みとして、「九尾の釜めし」という名前は東北自動車道上河内サービスエリアにある和食レストラン「九尾」のおすすめメニュー「名物「九尾釜めしご膳」(1260円)」としてこれからも残り続けるかもしれません。


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さて、黒磯駅弁との惜別はここまで。気を取り直して駅弁行脚を続けましょう。

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