大雪の東北駅弁行脚(後編)


2005年12月24日、この日秋田まで辿り着けなかった私は、我が家の一大イベント、そう、クリスマスイブのために一時撤退を余儀なくされました。大雪で陸の孤島と化していた大館から三島までの一路900キロをなんとか舞い戻って大切な一夜を自宅で過ごし、明けた12月25日のクリスマス早朝、まるで忘れ物を探すがごとく、再び東北を目指したのです。

この日も三島発6時26分「こだま700号」で東京に行き、新幹線の運行状況をまず確かめ、その上で今回は7時36分発「こまち3号」に乗車して、この2日間とてつもなく遠くに感じられた秋田を一気に攻めます。


      

前日には大雪による運休も出していた「こまち」。その影響もあってか、さすがにこの日はガラガラです。道中、きのう駅弁を受け取れなかった駅弁屋さんに電話を入れ、再度お詫びと確認をしていきます。
10時4分、定刻通り盛岡駅を発車した「こまち3号」は、いよいよ雪深い奥羽山脈を横断していきます。

      

10時34分、田沢湖駅に定刻停車。雪が降っています。幸い「舞う」程度なので、走行には影響なさそうです。

      

田沢湖を過ぎたあたりの車窓風景。雪崩でも起きたら前へ進めなくなります。祈るような気持ちで天を仰ぎます。トンネルの中では相当飛ばしていますが、やはり外に出るとかなりの減速運転。

      

角館を過ぎて目に入った風景。民家では今まで雪かきする暇がないほど、断続的に降っていたのでしょう。その点、鉄道の保線作業は夜を徹して行われたのでしょうか。ポイント区間など、至る所に保線員が線路端に立っていました。こういう光景を見るにつけ、頭が下がる思いでいっぱいでした。そしてその甲斐があって「こまち3号」は着実に秋田へと近づいていきます。
11時1分、定刻通りに大曲へ到着。2分停車です。ホーム売店に「駅弁」の文字が見えたので、さっそく降り立ってみました。

      

店員さんに「大曲駅限定の駅弁ってどれですか?」と訊ねると、「さあ、ここにあるのはみんな秋田から持ってきているんですよ。」と知らない様子(^^;)。「じゃあ、新作。新しいお弁当はどれですか?」と聞くと、「この『こまち重ね弁当』がそうですよ。」と言うので、迷わずにこれを購入。(帰ってからあとで気づきましたが、12月16日発売の新作は同じ2段重ね、ピンクの和紙袋に入った「あきたの祭り弁当」だったはず。店員さんの勘違いだったのでしょう。ここの売店にも確かにありましたが買わず、秋田駅でも予約の手違いから買うことはできませんでした、無念。)

      

      

この駅弁、やまももがシャーベットみたいでとても美味でした。というのも、ホーム売店では駅弁だけ外に陳列されており、この季節ですから、ごはんもおかずも芯から冷えていました。氷好きの私にとっては嬉しく、貴重な経験ができました。一般の方には、熱いお茶と一緒に購入されることをおすすめします。

駅弁としては珍しいフナの甘露煮、目鯛焼き、帆立焼き、里芋や姫竹などの煮物、舞茸天ぷら、はじかみ、ししとうなど。ごはんはもちろん「あきたこまち」でした。


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