肥薩線駅弁行脚4

2005年12月、人吉から「いさぶろう3号」に乗って矢岳越えをし、鹿児島県の吉松駅に到着しました。とりあえず、この駅では駅弁掛け紙の変遷や駅弁衰退の危機、そして復活までについておさらいすることからはじめましょう。

       

2003年10月現在、業者のたまりさんは駅売りからは撤退していました。そしてそのときのコメントは、
「JRは新幹線のみ目が向いていて、ローカル線は衰退あるのみです。残念。今は駅売りはせず、注文のみの対応です。」ということでした。この時は私も全く同感しました。列車にコトコト揺られる旅は、今の日本からどんどん消えつつあります。そんなに急いでどこへ行くのか、と問いかけたくなりますよね。しかし、2004年に九州新幹線が開通して、「いさぶろう」「しんぺい」という観光列車や特急「はやとの風」が吉松駅に来るようになり、駅弁は息を吹き返したのです。


       

下は吉松「御弁当」。2004年12月29日、砂丘の白兎さんが購入。以下はコメント。
「まだ売っているという情報の確認も兼ねて予約し、当日4分接続の間に入手。乗り継いだ汽車のボックス&電車の転換クロスが埋まっていたため、鹿児島中央駅の新幹線ホームにて夕食で食べる。普通の幕の内弁当だが、さつま揚げやガネ(芋天)や大根の煮物などが入っているところが郷土色を出している。」


     

そんなこんなで、吉松駅の駅弁は健在であるという情報を確認すべく、2005年12月6日、四半世紀ぶりに吉松駅を訪れたのです。肥薩線の山越え観光列車「いさぶろう」にコトコト揺られながら。

        

下は2005年12月6日、「いさぶろう3号」から降り、再び「しんぺい4号」に乗車するまでに買い求めた630円の「御弁当」です。予約した3日前の時点では630円のものしかなく、720円や820円のものはないと言われ、やむなく630円のものを1つ予約しましたが、当日は現地で「たまりさんの駅弁を目的に吉松まで来たんです。」とご主人に言ったら、「なんだ、それならもっと内容のいいやつも作るんだったなあ。」と頭を掻かれたので、なんとも言えないショックを受けました。「お詫びにSLの掛け紙をあげますよ。」と言われ、少し立ち直りました。

        

        ↑吉松駅の「御弁当」630円。普通に予約するとコレ。


   

     ↑中身は充実しています。柑橘系の甘煮がなんとも鹿児島らしさを演出。

   

     ↑ごはんは温かく、予約にあわせて作ってくれたのだなと思うとしんみり。。。
中身ですが、とても良心的でお買い得です。左上の文旦と思われる柑橘系の甘煮がとてもおいしかったです。

   

     ↑たまりさんのご厚意で720円の掛け紙をいただきました。

   

    ↑待合室にあった「肥薩線の歴史」の大きなパネル。

        

その下の「味話」は2005年8月16日、はやしさんが購入された820円の上等幕の内弁当です。「前日までに予約が必要です。吉松の幕の内はとても美味しく、嘉例川駅弁を買えなかった観光客に薦めたりしました。立売りとホーム売店の復活も嬉しいですね。」とコメントしてくださいました。

        

        ↑ホームにある「たまり」の駅弁売店

        

下は、はやしさんご提供の820円「御弁当」の中身。

        

さらにその下の蕎麦は参考までに、2005年8月14日、はやしさんがお食べになった霧島温泉駅構内「そば処停車馬」の「地鶏そば」です。「特急はやとの風2号の車内予約で買える『地鶏そば』土休日限定販売です。霧島温泉駅構内「そば処停車馬」のそばです。5分間停車の時間にホームで受け取ります。地鶏そばとぶっかけそばの2種類です。」とコメントしてくださいました。蕎麦は鹿児島県産のそば粉と牧園町にわく温泉水「関平鉱泉」を使用しているようです。

        
         ↑霧島温泉駅構内「そば処停車馬」の「地鶏そば」


さて、再び話を吉松駅に戻し、2009年6月7日に、はやしさんが吉松駅を訪れています。その時のご報告をどうぞ。貴重な画像どうもありがとうございました。

     

売店がリニューアルしていたそうです。幕の内は1種類ですが、値段は630円に据え置き。

    

内容は季節や日によっても多少変わるようです。

    

参考までに私が2009年10月11日に訪れた時のご報告を。やはり630円に価格が据え置きのまま、この「御弁当」は売られていました。

    

「はやとの風」2号を降りて最初に見たときは5個あった駅弁は、あっと言う間に売り切れ。もっと作ってもいいのではないかと思うほど売れています。立売もしっかりしている様子。この日は立売姿を見ることは出来ませんでしたが。

     

新米を使っているということで、確かにごはんが美味しいです。野菜の煮物が充実しています。

    

鶏の唐揚げ、海老フライ、昆布、きんぴらごぼう、玉子焼き、かまぼこ、福神漬けなど。4年前の2005年とは内容が変わっていました。

    

下は2013年5月12日の吉松駅ホーム売店の様子。

    

そして、今回も幻の幕の内を購入できました。実は前に予約しておきました。この内容で630円据え置きはどう考えても安いです。

    

特に煮物はあふれんばかりの詰め込みようですね。素晴らしい、の一語に尽きます。

    

 肥薩線駅弁行脚フィナーレを見る

 九州の駅弁リストに戻る 肥薩線駅弁行脚のスタートに戻る 人吉駅「栗めし」に戻る

 肥薩線駅弁行脚2に戻る 肥薩線駅弁行脚3に戻る