中国山地縦断駅弁旅 〜その1〜

2007年7月末から8月初めの4泊5日、山陰を旅行しました。その行き帰りには伯備線を経由する特急に乗り、久しぶりに中国山地を縦断しました。行きは「サンライズ出雲」、帰りは「やくも」。今回は日本海から瀬戸内海まで、中国山地を縦断した途中で出会った駅弁をご紹介します。

2007年8月2日、境港駅隣みなとさかい交流館1階にあるレストラン「ザ・めし処 おいでませ」で購入した「さば寿し」。1000円。

   

正面奧の建物が境港駅。そのすぐ隣に続くように、みなとさかい交流館があります。ここは隠岐島へのフェリー発着所のほか観光案内所、売店などもあり、言ってみれば境港「陸・海」の玄関口。この1階にあるレストラン「ザ・めし処 おいでませ」の道路側入り口には「幕の内弁当 鯖ずし 持ち帰り出来ます」と大きく書いてあり、交流館内部からの入り口にも「さば寿し」と「幕の内弁当」のサンプルを展示していて、いかにも駅弁だよと言わんばかりのアピール。

   

もちろん私はその言葉に釣られて入店。中はぱっと見「寿司処」の雰囲気でした。汎用容器だった「幕の内弁当」は今回パスして、「さば寿し」のみ購入。作り置きはせず、注文してからの調製でしたが、そうですね、ものの3分ぐらいで出来ました。正確には「お持ち帰り寿司」ということなのでしょう。
TEL 0859−44−9110 営業時間は9:00〜20:00です。

   

さて、この「さば寿し」。売られているのはほとんど駅構内ですし、地元の食材を使用する内容ですし、宣伝もしていますし、専用の掛け紙もありますし、これは「駅弁」と見なしてもいいのかなと思いましたが、ふと遊び心が芽生えてきて、駅前の妖怪博士「水木しげる」銅像の前に「さば寿し」を置いて、「これは駅弁なんでしょうかね?」と聞いてみることにしました。しかし、「水木しげる」氏は口をぽかんと開け、ゲゲゲの鬼太郎は頬杖をつき、ねずみ男も腕組みをするばかりです。

   

そこで、せっかく「ゲゲゲの鬼太郎」ワールドの街に来たのだから、「水木しげるロード」にいる妖怪たちに訊ねながら結論を出そうということで(いたずら小僧だった童心に返り)、2時間500円(荷物預かり無料)レンタサイクルを利用して妖怪に会いに行き、ついでに妖怪スタンプラリーにも参加して、境港の街を観光することにしました。このページをご覧になる皆さんも暫くは、広く大きな心で私の撮ったおどけたスナップ写真の数々を受け入れ、かつ楽しんでくださいね。

          

さあ、出発します。境港駅から1qくらいでしょうか、「水木しげる記念館」までの「水木しげるロード」には2007年4月現在で120体の妖怪ブロンズが道の両脇いたるところに設置されています。また、駅前の「鬼太郎交番」からはじまって、妖怪広場、妖怪神社、お店も妖怪ショップとか、もう妖怪だらけです。妖怪そっくりコンテスト、妖怪検定、妖怪ジャズフェスティバルと、町を挙げてのイベントも目白押し。「カランコロン通り」を過ぎ、「しげるさん通り」にさしかかったところでついに「ゲゲゲの鬼太郎」に遭遇。手を振ってくれました。

   

さてさて、妖怪たちに「さば寿し」を駅弁として認めてもらおうということで、ツーショットで撮らせてもらいます。まず「ぬりかべ」。・・・黙っています。・・・優しい目つきです。・・・と言うことは、どうやら嫌がらずに駅弁と認めてもらったようです。我ながらすごい理屈ですね(^^;)。

    

そして、鬼太郎の恋人と言われる「ねこ娘」。激しく怒ってこの「さば寿し」を受け入れないかのようですが、チッチッチッ、それは違います。「妖怪ハンドブック」10ページによると、「ふだんおとなしい女の子だが、ネズミや魚を見ると、たちまち目が吊り上がり牙をむきだして化け猫に変身する」と書かれています。この顔はどう考えても「化け猫」ですよね。近くにネズミはいませんから、それは「魚」を見たから化け猫に変身したということ。・・・で、肝心の魚は・・・・・・ありました、足下に「さば」が。 ・・・つまり、この「さば寿し」は「ねこ娘」にお墨付きをもらうほど「本物」だということですね(^^;)。道の反対側には「妖怪神社」が見えています。ここにもしっかりとお参りしなきゃ。

   

妖怪神社には200円入れると、からくり人形の巫女が持ってきてくれる「妖怪おみくじ」も売られています。巫女は誰かな、と思ったら、なんと「砂かけ婆」でした。出てきたおみくじは「大吉」。「願い事は叶う」と書いてあります。・・・どうやら神様と長老の婆には、この寿しが駅弁として認められたかな?(^^;)

さて、「水木しげる記念館」にはレンタサイクル割引料金で入りました。私は幼少時代、「少年マガジン」が40円だったころから読んでましたが、そこに連載されていた「ゲゲゲの鬼太郎」は最初は「墓場の鬼太郎」というタイトルだったのです。もちろん「ゲゲゲの鬼太郎」のアニメも白黒時代から知っていますし、再放送も何回見たか。。。そんな昔の資料などがたくさんあって、もっと長く居たかったのですが、あいにく撮影禁止でしたし、36個の妖怪スタンプをすべて押したいので、ひととおり見ると自転車にまたがってスタンプラリーに興じることに。今度は息子と来たいです。左下は妖怪神社の中。

    

下の画像に注目。ついに見つけました。「さば寿し」を駅弁と認めてもらうのに避けて通れないのがこの親子。まあ、見ておわかりのように、鬼太郎がこの「さば寿し」をしっかりと手にしてくれています。これは「OK」のサインですよね。目玉おやじも立ち上がって「この駅弁はうまそうじゃのう・・・」とひとこと・・・そう、聞こえましたとも(^^;)。・・・というわけで、これでめでたく(^^;)「駅弁」として認定したいと思います。もちろんあくまでも個人の見解としてですよ。・・・皆さんも私の遊び心にお付き合い下さり、どうもありがとうございました。

    

そんなこんなで約1時間右往左往しながら、何とかスタンプラリーを完集させて「完走賞」をもらいました。その賞状には「よう頑張った!よう頑張った! かんたは水木しげるロード妖怪スタンプラリーで妖怪の魔力にまけずに ぜ〜んぶのスタンプを集めてごいて だんだんな〜! 今日は完走を証明す〜けんな!」と書いてありました。実際、スタンプが郵便局の中とか結構わかりにくいところにあり、実は必死だったんです。なお、私は妖怪スタンプラリー13284人目の完走者だそうです。さて、そうこうしているうちに帰りの列車が。。。結局この「駅弁」を車内でいただきます。

    

入線していたのは「目玉おやじ」列車でした。他に往路お世話になった「鬼太郎」列車、「ねずみ男」列車、「ねこ娘」列車があります。車内にはイラストも施されています。

   

この境港駅「さば寿し」は焼きタイプではなく生タイプのバッテラ風で、薄板昆布で旨味が出ていて酢加減もほどよく、脂ものりすぎず、すし飯との間に挟まれた紫蘇やガリのおかげで生臭さもありません。地元の境港漁港で水揚げされた新鮮なサバを用いた寿司屋の棒寿司です。だから、もちろんいけますよ。

   

境港線はそれぞれの駅が妖怪名になっています。例えば境港駅は「鬼太郎駅」。和田浜駅は「つちころび駅」でした。上道駅は「一反木綿駅」、余子駅は「こなきじじい駅」、河崎口駅は「傘化け駅」というように、全ての駅に妖怪駅名標があり、とても楽しめました。途中、「鬼太郎」列車、「ねこ娘」列車とすれ違いました。

    

境港から米子まで、約40分の列車旅。海は見えませんが、見晴らしの良い田園地帯を走り、とても気持ちよかったです。ねずみ男駅(米子駅)にもいろいろ工夫が施されていました。境港だけでなく、この地域全体が一丸となって「ゲゲゲの鬼太郎」に賭けているという雰囲気がありました。

    

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