岡山〜天浜線珍道中〜その5・終〜

2010年1月3日から4日にかけて、青春18きっぷや私鉄を利用する旅をしました。1月4日、高松からは豊橋まで南海バス、近鉄特急、名鉄快速特急と私鉄ばかり乗り継いで来ましたが、そこから東へ2駅はJRを利用。新所原からは再び私鉄(元国鉄)天竜浜名湖鉄道の旅です。

         

左上のきっぷ。新所原から掛川までの全線を乗り通すきっぷです。こんな買い方をする人はあまりいないでしょう。そして、右上の画像にある新聞紙に包まれたもの、これはいったい?

        

贔屓目に見ても旅情があるとは言えませんが、地元民を中心に人気がある、天竜浜名湖鉄道新所原駅に併設する食堂「やまよし」が調製する「うなぎ弁当」です。2010年1月4日に購入しました。並1050円、上1260円、特上1575円の3種類があり、これは特上です。この新聞紙については女将さん曰く、夕食などにする地元客が圧倒的に多いので、やっぱり包むのは新聞紙で事足りるんです、とのこと。私もその通りだと思いました。

        

天浜線の気動車に乗り込んで、さっそく包んであった新聞紙を開きます。ラップが新聞紙の外と内と二重に巻かれていました。出来立てなのでいい匂いがします。車内には5人くらいしか乗っていませんので迷惑になることはないでしょう。もちろん浜名湖が見える右側のボックス占領です。

        

知波田あたりから浜名湖が車窓に広がってきます。小春日和の天気に、のんびりとした雰囲気の中、ゴトンゴトンと列車に揺られながら食べるその地域の駅弁は本当に美味しく感じられます。

        

ここで少し過去を振り返りたいと思います。下は2003年12月5日に新所原駅で購入した「うなぎ弁当」。当時は1200円。この時はオレンジ色の掛け紙が付いています。この掛け紙を作ったのは何を隠そうこの私、上ちゃんです。

  

なぜ掛け紙を作ったか。それはこの「うなぎ弁当」には掛け紙がなかったから。地元の駅弁を何らかの形で応援したい、そう思っただけです。地元客も大切ですが、駅弁と名乗っているんだから旅行客のために掛け紙はあったほうがいい、純粋にそう思いました。そこで、ご主人さんに掛け紙のことを申し出るべく電話してみると、相手は女将さんでしたが、以前より掛け紙の必要性はお感じになっていたようで、いとも簡単に快諾を得ました。ということでとりあえずシンプルなヤツを作って120枚ほど持っていったのです。

  

最初はお昼時におじゃまする予定が、この日は佐久間の上市場駅経由と言うことと、東名高速が事故で一時通行止めになるというアクシデントに見舞われ、着いたのはなんと15時前。そのせいでご主人さんにはお会いできませんでした。しかし、これからはこの掛け紙を希望する旅行客に付けて渡してくれるということをおっしゃってくださいました。

さて、うわさの「うなぎ弁当」のお味はというと、、さすが養鰻業を手掛けていらっしゃる「やまよし」さん。台湾などの輸入物は一切使用せず、浜名湖のうなぎにこだわっています。ふっくらとしてとてもおいしそう。タレは甘めです。左の画像は1匹分まるごとで、通常の1000円のものよりも1ランク上の1200円にしてみましたです。

                   

ここの女将さんとは短時間のうちに、実にいろいろとしゃべることができました。他の支店はたたんで、この駅だけで勝負していること、ご主人さんはうなぎにこだわりがあり、その面からも毎日大量には鰻を用意できず、これくらい店の規模で方がお客さんに気が配れること、掛け紙に使うイラストなどはシンプルなものが好きで、その意味では今回の私のものは気に入ったということ、その他、世間話として最近の高校生のマナーについてなどでした。特に、掛け紙を非常に気に入ってくれ、お礼の品まで頂いてしまったので、私としては嬉しいやら恐縮するやら…。また、駅弁ではありませんが、左下の「うなぎうどん」はとても評判で、いろんなメディアで紹介されているようです。さらに、白焼きや蒲焼きなどを地方発送してくれます。問い合わせは053−577−4181「やまよし」へ。

  

下は2005年4月29日、NHKのBS2「列島縦断鉄道乗りつくしの旅」で俳優の関口知宏さんが新所原駅に降り立ちましたが、それを記念して私が作った特製掛け紙です。この掛け紙はやまよしさんを通して関口知宏さんに渡してもらいました。

           

ここからは2010年1月4日の話。私の作ったお手製掛け紙は2009年12月、保存用の1枚を残して品切れになったそうです。なんと6年かかってやっと120枚がなくなりました。1年あたり20枚。月に1、2枚といったところでしょうか。実際、この掛け紙を欲しいと言った人にしか付けていなかったそうですが、ご主人さんも「掛け紙のコレクターは思ったよりもあまりいないみたいですね」とおっしゃっていました。今後は必要ならばまたお願いするから連絡先を教えて欲しいということでしたので、お教えしました。確かに新聞紙で包まれた駅弁は旅人にとっては味気ない気もしますが、でも「やまよし」のスタイルが新聞紙なら、それはそれでいいかなと思い、私も以前ほど掛け紙にこだわりはなくなりました。まあ、今後もご縁があれば。。。ですね。

           

一応静岡県人ですし、浜名湖より30キロほど北に5年ほど住んでいましたので、何度も見慣れた風景を列車は走っていきますが、トンネルに入ったり、道路をくぐったりと、いつもは車から見ているのとまた違った景色が目に入ってくるのは新鮮な気持ちがします。掛川からは在来線で家路につきました。

          

今回の旅は高松からなるべくJRを使わない陸路で帰宅するという試みでした。実は関西に在住していた大学時代、なるべく国鉄を使わずに帰省しようと何度も計画だけは立てましたが、結局一度も実行することなく30年近い歳月が経ちました。だから、今回の旅はそのやり残しの旅でもあります。もっとも当時は豊橋から路線バスを乗り継ぐなどの無謀な計画でしたし、天竜浜名湖鉄道は国鉄二俣線でした。時代は変わっていきますね。しかし、車窓から見た風景と美味しい駅弁の味はこれからも変わらないでいて欲しいと思います。最後までお付き合いくださり、どうもありがとうございました。

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