伊豆半島ジオパーク弁当

令和元年(2019年)8月27日より、静岡県立韮山高等学校写真報道部と伊豆半島ジオパーク推進協議会、株式会社桃中軒、そしてこれは本当に付け足しですが、ウェブサイト「駅弁の小窓」の4者(産・官・学・趣味)が協働したコラボ駅弁「伊豆半島ジオパーク弁当」1200円が、沼津駅と三島駅で販売されることになりました。

 

そして、それに先立ち、2019年8月22日、伊豆半島ジオパーク推進協議会事務局がある伊豆市修善寺「伊豆半島ジオパーク ミュージアム ジオリア」のテラスでお披露目会がありました。

 

静岡県立韮山高等学校というのは私の母校であり勤務校でもあり、写真報道部というのは私の出身部活動(当時は新聞部と写真部に分かれていました)であり顧問を務める部活動でもあります。2014年に写真部を改称して創部し、地域に根差した新聞と写真制作をして、現在に至ります。

伊豆半島は世界文化遺産の韮山反射炉をはじめとした文化遺産、世界認定伊豆半島ジオパークや世界農業遺産の静岡水わさびなどの自然、観光に恵まれる一方で、過疎化によるマンパワーの衰えが顕著な地域でもあります。それを高校生の視点でどうとらえ、どう関わって活性化して行くか、どう郷土愛を育んでいくかをテーマに、それを教育活動としての新聞や写真で発信するだけでなく、大人の力を借りながら、高校生でもできる様々な取り組みをしてきました。その中の1つが2019年3月から9月末までの予定で走っている伊豆箱根鉄道「ジオトレイン」でした。これも伊豆半島ジオパーク推進協議会とのコラボで、部員たちが自らモデルになって撮影した伊豆半島のジオスポットの写真20枚に説明を加えたステッカーを車内に展示して伊豆半島ジオパークの魅力を伝えるという趣旨でした。

 

高校生が考案した特別電車が実際に走るだけでも高校生にとっては大きな喜びであり、達成感を感じられましたが、さらなる取り組みとして、駅弁でも世界認定伊豆半島ジオパークの魅力を発信したいというのが、部員や顧問の思いでもありました。こうしてその思いは120年以上の歴史を持つ老舗駅弁会社「桃中軒」に伝わりました。3年前に写真報道部が制作した「まち・ひと・しごと新聞」で桃中軒「韮山反射炉弁当」をトップ記事で取り上げていたというのもご縁でした。

  

  

2019年8月22日のお披露目会では、伊豆半島ジオパーク推進協議会会長(伊豆市長)や株式会社桃中軒社長の挨拶、写真報道部員によるお品書き紹介、食材に使われているひじき、塩かつお、レモングラスなどの生産者挨拶などが行なわれ、地元メディアや東京からのメディアも含めて、「伊豆半島ジオパーク弁当」が盛大にお披露目されました。

 

さて、この駅弁のコンセプトは伊豆半島ジオパークの魅力を伝えることです。2019年3月、部員たちはまず全校生徒に食材のアンケートを取り、駅弁に入れたいおかずをリサーチしました。その結果を桃中軒スタッフに伝え、献立の試作をお願いしました。ジオパークに関わる柱状節理などの地形を意識し、献立のネーミングにもこだわりました。試作品を実際に食して何度か改良を重ね、お品書きの文言や伊豆半島ジオマップなども部員たちが手分けして作りました。掛け紙についてはジオトレインにも使われたステッカーの写真を使用し、部で発行する本紙「韮高新聞」やパソコン速報紙「龍城學報」によく使われる字体を用い、最終的には駅弁趣味と長く付き合ってきた顧問の私が駅弁の体裁をしているかの確認をして、完成を見ることができました。

 

この駅弁制作を通じて、部員たちの様々な成長が顧問として感じられました。地元の伝統的な食文化を知り、自分たちの住む伊豆半島の地形だけでなく、今まで気づかなかった地元の良さを再発見できた、と口々に伝えてくれるのが嬉しいです。

 

この駅弁の魅力はまだまだ書き足りませんが、あとは皆さまがぜひ伊豆にいらして、実際にこの駅弁を召し上がることで直接お感じになっていただければ幸いです。

 


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