下は2010年10月11日、三島駅で購入した「伊豆の思ひ出 文士の玉手箱(夏目漱石バージョン)」。2010年10月10日より発売開始した「伊豆の思ひ出 文士の玉手箱」シリーズ第4弾です。1050円。

   

夏目漱石と伊豆との関わりで一番印象深いとされているのが「修善寺の大患」。明治43(1910)年8月6日から漱石は胃腸病の静養のために修善寺の菊屋旅館に滞在します。ところが8月24日、胃潰瘍で人事不省に陥ることに。何とか一命を取り留め、10月11日に帰京しますが、「修善寺の大患」が漱石の人生観、文学観に与えた影響は大きいとされています。

   

つまり、この駅弁は「修善寺の大患」から100年経ったというのを記念して作られた駅弁です。しおりにはお品書きや夏目漱石と修善寺との関わりなどが書かれていました。メニューとしてはイギリスに留学経験もあって漱石が好んだという洋食が中心です。また、修善寺滞在中は療養のためにあまり堪能できなかったという伊豆の味覚をふんだんに取り入れています。

   

また、裏には夏目漱石ゆかりの地「修善寺」散策マップが付いています。菊屋旅館のほか、修禅寺、梅林などの観光名所や夏目漱石文学館、文学碑なども案内されています。

   

このお弁当の内容ですが、エビピラフ、ビーフステーキ、じゃこのスパゲッティ、駿河湾真鯛のけんちんフライ、修善寺椎茸フリッター、椎茸入玉子焼、人参、いんげん、伊豆いちごジャムゼリーなどが入っています。

   

下の画像は夏目漱石が滞在していた菊屋旅館。修善寺の老舗旅館です。修善寺温泉バス停の真正面にあります。私もかつて宿泊したことがありました。駅弁に真鯛のけんちんフライが入っているのは氷嚢を取り除いたお祝いに菊屋の主人が鯛を贈ったというエピソードによるそうです。漱石が滞在した2階の部屋は現在「虹の郷」に移築されましたが、最初に宿泊した「梅の間」は今でも菊屋旅館にあります。また、写真などを中心に漱石ゆかりの品々が展示されています。

   

天城産のわさびをおろし板ですっておかずに付けて食べることが出来ます。スパゲッティーに付けるとなかなかイケますよ。また、ジャムは漱石の好物だったそうです。

   

下は2007年5月22日、三島駅で購入した「伊豆の思ひ出 文士の玉手箱(井上靖バージョン)」。新幹線ホーム売店でも売っていますので、「こだま」の停車中にでも手軽にお買い求めできます。

   

2007年5月21日に初登場した駅弁「伊豆の思ひ出 文士の玉手箱」はシリーズもので、今後伊豆にゆかりのある文士をテーマにして内容が変わっていきます。2008年1月末までは生誕100年の井上靖をテーマにした内容の駅弁です。その後2008年は若山牧水没後80周年にちなんだ駅弁に生まれ変わり、2009年は川端康成生誕110年にちなんだ内容の駅弁にリニューアルされる見込みです。

   

井上靖が天城湯ヶ島で幼少時代を過ごしたことは小説「しろばんば」に詳しいですが、その「しろばんば」をモチーフに、小説に登場する食材と、伊豆の特産をふんだんに取り入れたお弁当となりました。

   

メインは椎茸めしです。伊豆特産の椎茸がごはんの上に載り、中にもスライスが入っています。そんなに椎茸臭くはないので、子どもでも大丈夫そうです。

   

おかずは静岡らしく茶そば海苔巻き、うなぎと牛蒡、三つ葉のかき揚げ、鰯の味醂干し、鰆の名の花焼き、豚肉のやわらか煮、鶏肉のしょうが煮、紅白のしあわせ煮(大根と人参)、かにの湯葉巻き、(ワサビ醤油でいただく趣向の)紋甲イカの薄塩焼き。

   

デザートであるみかんの黄色い部分は果肉かと思いきや、なんとゼリーでした。また、その手前に少しだけ見えていますが、わさび茎の醤油漬けが口直しに添えられています。

    

容器はブックスタイルで、湯ヶ島の地図と生誕百年祭のイベント情報しおりが付きます。井上靖作品読書感想文コンクール入選した小学生の作品のいくつかもが載されていました。

   

しおりの裏は全面が天城湯ヶ島の手書きマップです。旧井上邸、小説の主人公である洪作とおぬい婆さんの家などが描かれていました。

   

下の画像4枚は2005年10月22日に天城湯ヶ島文学散歩をした際に撮ったのもの。
小説の中に出てくる牛缶入り「おぬい婆さんのライスカレー」は今回の駅弁には入っていませんでした。駅弁ですので当たり前と言えば当たり前。
右は小説の題名となっている「しろばんば」の正体。ワタアブラムシという昆虫です。いずれも
天城温泉会館に案内があります。

    

左下は熊野山にある井上靖のお墓。墓前にたたずむお方は。。。井上靖記念文化財団の理事で井上靖のご長女です。もちろん今回の駅弁のことも知っておられます。右下の画像は上のマップにも出てくる「桜屋書店」の井上靖コーナーの様子。

    

天城湯ヶ島をはじめ、三島、沼津は井上靖が少年時代を過ごした思い出の地がたくさんあります。ぜひ、この駅弁を片手に文学の宝庫・作家ゆかりの地、伊豆に足をお運び下さい。

   

下は2008年4月20日、三島駅で購入した「伊豆の思ひ出 文士の玉手箱・井上靖バージョン」。

   

この日で終売になってしまいました。

   

下は2009年5月20日、三島駅で購入した「伊豆の思ひ出 文士の玉手箱・川端康成バージョン」。

   

小説「伊豆の踊子」に因んで、踊り子が食べたとされる「鳥鍋」、主人公の学生が食べた「魚の昼飯」と「海苔巻きのすし」をヒントにすき焼き風の鶏肉、メダイの塩焼き、セリと山芋の海苔巻き、さらに郷土料理「きりだめすし」などが入っています。

   

1日30食の駅弁です。「文士の玉手箱」第3弾ということになります。生わさびを直接すりおろして薄味のおかずに付けて食べるという趣向がいいですね。

   

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