復刻名古屋驛折詰御辨當・明治村イベント駅弁

下は2009年9月20日、明治村で賞味した「復刻名古屋驛折詰御辨當」。1100円。明治村で2009年9月19日〜11月29日まで開催されている「村の秋祭り2009・明治グルメ博」の中で限定販売されたイベント復刻駅弁です。

     

「復刻名古屋驛折詰御辨當」と一緒に写っているのは蒸気機関車12号。これは1874(明治7)年にイギリスのシャープ・スチュアート社が製造したもので、日本では新橋〜品川を走った機関車の中の1機です。1911(明治44)年に尾西鉄道へと払い下げられ、その後1974(昭和49)年から明治村で動態保存されています。動態保存している機関車としては日本最古のものだそうです。明治を再現した「なごや」の駅名標とともに、明治時代の復刻であるこの「復刻名古屋驛折詰御辨當」とツーショットの画像はよく似合いますね。

     

また、画像の三等客車も明治時代製。「ハフ11」は1908(明治41)年、天野工場製。「ハフ13」「ハフ14」は明治45(1912)年、新宮鉄道株式会社製。ハフ11は青梅鉄道、高畠鉄道、雄勝鉄道(羽後交通雄勝線)を経て1973(昭和48)年に明治村へ。ハフ13、ハフ14は新宮鉄道が国有化され、鉄道省の所属となりましたが、その後に雄勝鉄道へと移り、1973(昭和48)年に明治村へと来たそうです。

     

さて、この明治復刻駅弁が売られているのは「明治村食堂」の2階です。復刻駅弁もそうですが、「漱石のビステキ(ビフテキ)」「諭吉の牛鍋定食」「明治のらふめん」「食道楽の林檎パイ」「平八郎のビーフシチュー」「魯山人風戸隠そば」「ラフカディオ珈琲」など、明治村では偉人の愛したグルメや文明開化のグルメなど、明治ゆかりの食べ物が味わえる「明治グルメ博2009」が2009年9月19日〜11月29日まで開催中。さっそく行ってみることにしましょう。

     

左下が明治村食堂の外観です。正門には近いですが、場所的には明治村の外れ(一般道路を挟んだ飛び地)となります。右下は姫路の復刻弁当。こちらも当時の内容に近づけているお弁当で、何年か前からイベント復刻駅弁として明治村食堂で売られてきました。945円です。こちらも後ほど賞味します。

      

実は光栄なことに今回のイベントでは明治村からの協力要請があり、私の所蔵する明治20年代の駅弁掛け紙・名古屋停車場「折詰御辨當」を複製して、この復刻駅弁の掛け紙にしたいということでしたので、一般の方々に駅弁への関心を高める良い機会だと考え、掛け紙(データ)の無償提供を快諾しました。また、それについて2009年7月28日、三重県内(長島温泉)のホテルで、時代考証も含めたお弁当の内容などにも触れての打ち合わせを実施しました。

         

この復刻イベント駅弁は数量限定で、この日は名古屋駅弁が30食、姫路が20食でした。(私は今回、姫路の方は関わっておりません。)

     

では、さっそく食してみることにしましょう。掛け紐については紙紐でなく、それが残念ではありますが、今回の調製元が駅弁屋ではないため、掛け紐を掛ける技は無かったということで、紅白のゴム紐ということになったそうです。上等弁当をイメージして2段重ねとしました。

     

折箱は当時を考え、約14センチ角の小振りなものを採用。中身ですが、1905(明治38)年11月に発行された雑誌「食道楽」で紹介されていた名古屋の駅弁をできるかぎり再現したもので、うなぎ、川魚(鮎の稚魚の佃煮)、鶏肉の甘煮、蒲鉾などが入っています。椎茸煮、南瓜煮、煮豆、玉子焼き、がんもなども入れました。ちなみに「食道楽」では「名古屋駅は蒲鉾、細鰻、河魚佃煮、鶏の甘煮等にして、風味好良、体裁も亦一寸佳く非難する点少なし。」と書かれています。

     

稚鮎の甘露煮については明治村のお土産売り場にも単品で売られていました。

     

左下は明治村内にある名古屋駅。右は東京駅です。

      

駅に到着すると転車台を人力(2人)で回し、方向転換します。右下は客車の内部の様子。

      

下は2009年9月20日、明治村で賞味した「復刻姫路驛折詰め辨當」。945円。明治村で2009年9月19日〜11月29日まで開催されている「村の秋祭り2009・明治グルメ博」の中で限定販売されたイベント復刻駅弁です。

     

こちらも2段重ね。7、8年前から明治村ではイベントで売られてきたものです。私はこのお弁当には関わっていません。下は掛け紙の様子です。

     

下はその中身です。栗きんとんや伊達巻き、煮豆、焼き魚、蒲鉾、奈良漬などが入っています。

     

下は明治村の名古屋駅で。石炭の匂いが何とも言えません。昔の人は駅弁を食べるときに石炭の匂いもスパイスだったのでは、とそんなことも考えました。かく言う私も旅の途中、蒸気機関車の中で駅弁を食べた最後の年代なのですが。

      

せっかくですので、少し明治村を歩いてみましょう。場内には明治に建てられた西洋建築や日本の伝統建築物がたくさん展示されています。国の重要文化財も10点ほどあるそうです。

      

明治村と言えば私が子どもの頃はいつもお客で賑わっている一大観光地というイメージでした。今回は約30年ぶりくらいの訪問でしたが、現在でも様々なイベントを企画するなどして、旧き良き時代を大切にしつつ、日々進化を遂げていることがよくわかりました。

      

明治村は明治の精神や文化を後世に伝えるため、1965(昭和40)年の開村以来、今も明治の生き証人として、私たちに歴史を振り返ることの大切さを語りかけてくれます。

     

今回、明治村で明治時代の名古屋駅の駅弁を再現するというお話があり、微力ながらお手伝いできたことは大変光栄でした。このフェアによって少しでも駅弁に興味を持たれる方が増え、今後も復刻駅弁企画が続いていくことを願っています。

     

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