2008年7月6日、小田原駅で購入した「きんめ鯛うめ煮丼」。950円。2008年7月1日より発売開始された新作駅弁です。

   

相模湾で獲れる金目鯛は地元では煮付けで食べるのが一番おいしいと言われており、伊豆に住む私も何かにつけてよく食べる機会があります。しかし、それは温かいからおいしいのであって、冷めてしまえば固くなり、ましてや駅弁として折り箱に詰めるのは、なかなか勇気がいることかと思います。

   

しかし、金目鯛を梅干しと一緒に煮ることで、魚の臭みが消えるだけでなく、冷めても梅の香りが金目鯛の風味を引き立たせ、食を進めるのだそうです。そして、この駅弁が生まれました。というわけで、興味津々だった私は、さっそく食べてみることに。食欲が衰えがちな夏に、「梅」と聞いただけで元気が出てきます。

   

ほのかな梅の甘酸っぱい香りが確かに食欲をそそります。煮付けの切り身は型くずれせず、それでいて冷めても十分に柔らかく、白いご飯とよく合います。また、ひじきもフキも絶妙な甘めの味付けで、酸っぱいかと予想していた梅干しさえも甘く感じられました。大根つぼ漬けが箸休めです。

   

ここらでちょっとお遊びを。小田原駅のシンボルにもなっている「二宮金次郎」の銅像とツーショット。「きん」つながりというわけです。小田原は二宮尊徳こと、二宮金次郎の生まれ故郷。小学校を中心に、全国に広く分布する二宮金次郎像をいくつかご紹介しましょう。薪を背負って儒教の四書の一つ「大学」を読みながら歩くこの像は、最近でこそ「歩きながら本を読むのは危険だ」と言われることがあり、深夜に校庭を走るなどの面白おかしい怪談話さえもあって、かつての「尊徳」の威厳は失われつつありますが、戦前から勤勉、倹約のシンボルとして日本人に尊敬され、親しまれてきたのです。小田原はさすがに地元、立像だけでなく、いろいろなバージョンがありました。

    

左上は二宮神社の立像。この形が一番オーソドックスで、昭和3年に昭和天皇の御大礼を記念して建てられたもの。「勤労・分度・推譲」の尊徳思想はそのまま帝国主義の富国強兵政策に利用できるものでした。この立像は全国に1000体も作られたそうですが、戦時中はすべて金属供出に。でも、宮司さんのお話によると、この神社の「ご神体」だけは免れたそうです。全国の小学生にメートル法を教えるために、像の高さは1メートルに統一されたとか。右上は勝福寺の座像。少年の時、ここで一代の大誓願を発したのだそうです。

    

左上は報徳小学校にほど近い民家の庭にあった2つの像。このお宅のご主人は二宮尊徳の研究家でいらっしゃいます。直接ご本人にお伺いすると、その昔、二宮金次郎がこのお宅に借金をし、後に返済してくれたのだけれども、受け取る気はなくて、そのお金で銅像を作ったということです。また、右上は桜井小学校の座像。

    

左上は二宮尊徳の生家にある、「大人の像」。現在は二宮尊徳記念館となっています。右上は二宮神社の社務所にあった陶器の座像。

    

二宮金次郎像は静岡県内にもたくさんありますので少し紹介。左上は神山小学校にある像。校庭の中央、国旗、校旗掲揚台横に位置しています。右上は御殿場小学校。すぐ後ろには築山もあり、台まで入れると3メートル以上はありそうです。このように、二宮像は各学校においては目立つ場所に置かれ、まるで児童生徒の守り神として鎮座しているかのようです。

    

上は国道246号沿いにある御殿場市内の某コンビニ。ゴミ箱の右側に。。。見えますか? コンビニにまで二宮金次郎像がありました。なんと読んでいる本が募金の受け皿になっています。店員に聞いてみると、開店祝いに店長の知人がプレゼントした石像だということでした。

    

左上は裾野市内にある某スイミングスクールの立像。なぜスイミングスクールにあるのかは不明ですが、今でも報徳思想が盛んな静岡県において、それだけ模範的な人物であったということを示しています。その証拠のひとつに右上は二宮尊徳の「一円紙幣」。昭和21年の占領統治下に、連合軍が作ったものです。「二宮金次郎は日本が生んだ最大の民主主義者」とみなされ、民主主義教育にも利用されました。本物の紙幣が二宮尊徳記念館に展示されています。

ということで、「金目鯛」と「金次郎」の「きん」つながりから、とんだ脱線話をしてしまいました。話を駅弁に戻しましょう。と言ってはみたものの、脱線ついでに淡水の芦ノ湖と「きんめ鯛うめ煮丼」の図。まったく脈絡がない絵でした。

   

このままでは終われなくなってきたので、もう一つ2008年7月1日からの新作駅弁を紹介。下は2008年7月6日に小田原駅で購入した「湘南いからいす」。680円。

   

もち米に海老、トップシェル、ホタテ、菜の花、サフランを加えて炊きあげたものをイカの中に詰めた駅弁です。

   

ジェノバソースとチリソースが緑と赤で彩り鮮やかに掛かっています。洋風イカめしとでも言うべき内容。デザートとしてアンズのピクルスが添えられています。イカめし好きの娘曰く、「これは美味しい。でも容器が白ならば、より洋風に見えたのに。。。黒だと和風っぽく見えてしまう」のだとか。そうなんでしょうか?

   

値段が安く、森駅「いかめし」のイメージも手伝って、人気が爆発しそうな駅弁です。

   

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