下は2004年4月25日、大月駅弁の桂川館(けいせんかん)を訪れたレポート。私と同郷出身の社長さんにいろいろと駅弁販売の現状についてお話を伺ってきました。

      

2004年4月現在、桂川館さんは大月駅構内では営業を行っておらず、駅前にある桂川館の前にワゴンを出してほそぼそと駅弁を売っています。これは、女将さんが亡くなられたことも影響していますが、2004年4月1日より構内営業業者から駅弁の納入業者に切り替わったことにもよります。
ホーム上にあった売店はJR東日本の子会社「甲斐企画」の売店となり、その改修工事が当初の計画より大幅に遅れておそらく7月ころに完成した後は、NREの駅弁と一緒に桂川館の駅弁は売られるそうです。

営業時間は15時までですが、土日は16時まで(2007年以降は15時まで)だそうです。通常は「幕の内」「釜めし」「しめじ御飯」の3種で、珍弁である「ほろほろランチ」、「お好み弁当」などは予約で承るということでした。下は2004年4月25日購入の「ほろほろランチ」。

     

ほろほろ鳥の薫製にエビフライ、フライドポテト、プルーン、甘栗ののった茶めし、ウインナー、卵焼き、かまぼこなどがはいっていました。ロゼの甲州ワイン付きで、「ほろほろ酔い」とかけています。

      

下は2006年4月29日購入の「ほろほろランチ」。1150円。土日限定の販売。ほろほろ鳥はもともとアフリカが原産で、見た目はキジのような感じです。現在ではフランス料理などにも高級食材として利用され、その味はクセがなく、脂肪が少なくて淡白で、美味だとされています。日本ではほとんど飼育されていませんが、岩手県や静岡県の富士山麓で飼育されており、静岡県裾野市にある牧場&お食事処には私も訪れたことがあります。

    

プルーンはなくなってしまいましたが、昆布巻きが登場。その他のおかずには変化なし。ほろほろ鳥の薫製肉が想像以上に柔らかく、美味です。

    

ワインは笹子に本社がある笹一酒造「甲州ワインオリファン」のロゼ。100ミリリットルの小瓶です。

     

ホームの売店は無事に改装され、改札外のキヨスクでも駅弁が売られていました。

    

その後、私は半年に1度ぐらいの割合で桂川館に訪れるようになりました。すると、2006年8月からは富士急行の構内で台売りが開始され、富士急大月駅限定「食べてミーナ」が販売開始されました。そして、何度か大月駅を訪れた後、2008年3月23日、今度はいつもとは違った思いで桂川館を訪れることになったのです。

    

それは2008年3月11日、今年の春限定「竹鶏物語」の販売開始時期はどうかなと思って、社長さんに電話した時のことです。

「竹の子は今年は遅いよ。。。     実はね、、、駅弁、やめるかもしれない。」

揺るぎない事実として、大月駅の駅前区画整理で2008年3月31日の営業をもって、駅前に位置する桂川館の調製所は取り壊されてしまうそうです。

「それって、廃業するということですか?」
「・・・まあ、いろいろ考えたけどね。。。う〜ん、、、できればやめたくないし、続けろと言う声もあるから、移転して厨房が借りられるかどうかを現在は模索中で。。。」

桂川館としては、できればゴールデンウィークまでには駅弁の販売を再開したいそうですが、厨房が見つからなければこのままやめてしまう可能性もある、という現実をいきなり突きつけられた思いでした。

そこで、2008年3月23日、大月駅前の桂川館を訪れ、事情を伺うことに。。。下はその時に購入した「ほろほろランチ」です。


   

いつもと変わらない味でした。ほろほろ鳥の薫製は野鳥らしい匂いもほとんどせず、柔らかくて噛めば噛むほど旨味が感じられる美味しい肉でした。

   

2008年3月23日、この時点でわかったことは次の通りです。

まず、駅前再開発による駅前調製所取り壊しのため、2008年3月31日をもって桂川館は営業をやめます。跡地には割烹の店が入るそうです。

4月以降について社長さんの話では、駅弁撤退を惜しむ声もあるため、撤退から休止へと気持ちも変わってきたようで、状況としては好転しているように見えます。JR東日本八王子支社にも最終的には廃業ではなく「休業」として届け出をしたそうです。

ただ、営業再開の目途は立っていません。希望的観測として、ゴールデンウィーク直前というのはありますが、そうなったらいいなというだけの話だそうです。

もし営業を再開する場合は、取り壊される建物の奥にある別棟(取り壊し対象外)の古い厨房を仮の形で使用し、駅弁を調製するとのこと。しかしその後、本格的に厨房を移転して営業するかどうかについては、何も決定していません。

また、仮調製で再開しても、JRのキヨスク売店並びにホーム売店ジェイショップで再び売られるかどうかについては、届け出のこともあって未定。一方、富士急行駅構内については台売りの形で土日に販売を再開することは可能だということでした。

ということで、4月1日より最低でも1ヶ月近くは営業を休止し、再び駅弁販売を望んではいるものの、その後のことはまだわからない、というのが現状です。

したがって、桂川館の駅弁(「ほろほろランチ」と「お好み弁当」は土日のみ)を賞味しておきたい方は、ぜひ今月中に(できれば予約して)訪れることをオススメします。
と言うことです。今後どうなるかは全くわかりませんが、私としては早い時期に営業再開がなされ、いつまでも大月駅で駅弁を売り続けて欲しい、と心からそう思っています。

   

暗くなっても仕方ありません。ここで気分を変えて、「富士には月見草がよく似合う」と小説「富岳百景」で太宰治が書いたのを真似して、「ほろほろランチには富士急行がよく似合う」と私は勝手に思い込みたいと思います。
富士急行はほろほろ鳥が飼育されている富士山麓の北側を走る電車ですから、まあ許してやってくださいな。

そこで、しばし、富士急行と「ほろほろランチ」とのツーショットをお楽しみください。
今回は無人駅でありながら縁起が良いことで知られる「寿」駅を訪れました。大月方面から「三つ峠」駅の次に位置している駅です。

    

ホームは片側1本で中央に簡易屋根の付いた木製ベンチがあるだけの駅。縁起の良い「寿」入場券は富士吉田駅などに行かないと買えません。

   

木製ベンチに座って「ほろほろランチ」を食べ、「フジサン特急」のポスターに目をやっていると、本当に河口湖行きの「フジサン特急」が近づいてきました。慌ててカメラを持ち、パッケージ片手に構えます。

    

よっしゃ〜、ツーショットが一発で決まりました。寿駅で「こいつは春から縁起がいいや。。。」でしょうか。。。

    

しかし、通り過ぎたあとはこの有り様です。調子に乗って早くシャッターを切りすぎました。気づいたら後の祭りで、「フジサン特急」はあっという間に豆粒のように小さくなってしまいました。。。

     

まぁ、しかし、またこの駅弁をぜひぜひ味わってみたいです。そういう日が近いうちに再び来ると力強く信じて、このレポートをお開きにしたいと思います。

    


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