北越駅弁まんぷく旅〜その4・終〜

2009年1月24日から25日にかけて、「北陸フリーきっぷ(グリーン)」を用いて北越地方を旅しました。24日の午後に東京駅を発ち、長岡を経由して特急「北越」に乗り換え、直江津駅では停車中に予約していた駅弁を受け取ります。グリーン車で食べるにふさわしい、贅を尽くした幕の内でした。

     

表示ラベルには「幕の内 B」と書かれていますが、調製元であるホテルハイマートの公式サイトには「幕の内弁当 長浜」となっています。2800円と、ハイマートでは最高額の駅弁です。

     

もともとは地生鱈を使った季節限定「お弁当 鱈」と要予約「鮭ずし」を食べようと思って電話しました。しかし、2008年6月末に直江津駅でもうひとつの駅弁業者であるホテルセンチュリーイカヤが撤退して以来、ハイマートは弁当注文が忙しい毎日で、季節駅弁や予約駅弁を一切作らないことになってしまったようです。「おらとこのご馳走 め鱚」や「するてん」、「とりめし」などの秀作駅弁も、もう2度と食べられないでしょう。と言うわけで、今回は作れると言われた幕の内弁当の中から、グリーン車で優雅に食べられる「長浜」を選んだのでした。

     

さすがに最高級駅弁だけあって、20種類ちかいおかずが詰められています。ご飯は別折で、「駅弁マーク」付きの掛け紙が付いています。おかず折には掛け紙はなく、汎用タイプの容器を使用していました。

     

大ぶりのボイル海老、山菜入り巾着袋、里芋、人参の煮物、カニ肉入りもずく、にしん昆布、かずのこ。海老の下に楊子が見えていますが、これは白バイ貝です。やはり「磯の漁火」にも入っているもずく酢が美味。カズノコも柔らかいです。カズノコの下のピンクは香の物でした。

     

トロトロのあんず、プチプチのいくら、プルプルの大根・みかん・キュウリ・寒天酢の物、はじかみ、玉子焼き、そしてその後ろに蒲鉾、紅鮭。

     

手作り風の蒲鉾には「愛」と書かれています。2009年NHK大河ドラマ「天地人」の主人公、直江兼続(なおえ かねつぐ)とその妻「お船(せん)の方」との夫婦愛をイメージしているのでしょうか。そして、その背後にある紅鮭がトロ鮭という感じで、脂の載り具合が適度であり、ものすごく美味しいです。

     

天ぷらは海老2本、カニ足1本、椎茸、タラの芽です。その横にはちょっと苦味がある菜の花のゴマ和えが口直し。オレンジ色のサンドイッチは干し柿のようです。中に挟まれていたのは、何とバターでした。それはそれで不思議と合っており、案外イケてます。

     

サクサクして大きなヒレカツの後ろにはイチゴがちょこっと顔を覗かせています。ウナギの蒲焼きは弾力がある肉厚のものを使用。手前はしんなりした白菜と歯応えのある鶏肉に柚子味噌をかけたもの。素朴な味が嬉しいです。

     

直江津駅でこの弁当を受け取ったのは午後5時過ぎ。辺りはもうすっかりと暗くなり、自分以外には誰もいなくなったグリーン車の中で、ゆったりとした時間の流れを感じつつ、一つ一つの味を噛みしめながらいただきました。

     

今回は金沢駅「加賀野立弁当」をメインに、それを引き立てる脇役駅弁もすべて高級志向で固めてみました。グリーン車に乗れるフリーきっぷを使用したということもありますが、紹介した4つの駅弁の合計金額は、なんと16100円。これは普通に考えれば明らかに贅沢であり、森駅「いかめし」500円ならば8倍の32個が買えてしまったわけですが、今までずっと憧れだった駅弁を念願かなっておいしくいただくことができ、後悔はしていません。私の駅弁趣味にとっても、一つの節目となりました。最後までこの駅弁行脚につきあってくださり、どうもありがとうございました。


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