紀勢本線全通50周年「元祖特撰牛肉弁当」発売50周年

2009年は紀勢本線全通50周年にあたり、JR東海、JR西日本ともに様々なイベントを企画しましたが、記念弁当もその1つで、松阪駅弁あら竹では2009年4月10日〜12月末まで「復刻版元祖牛肉弁当」1380円を売り出しました。この記念弁当は掛け紙を何回か換えて種類を増やすという力の入れようでした。第1弾は4月10日〜5月31日、第2弾は昭和時代の復刻掛け紙で6月1日〜限定200枚、第3弾は「紀勢本線全通50周年号」が走った7月15日〜、要望の多さで生まれた第4弾は7月31日〜。そして第5弾が9月20日〜。

      

時を同じくして、あら竹本店のお店もリニューアルし、3階のギャラリー(正式には「あら竹モー太郎ギャラリー」と言うらしい。)では紀勢本線全通50周年記念パネル写真展を開催していました。下は2009年7月28日に訪れたときの様子です。

      

紀勢線50年の歩みは「駅弁あら竹」の歴史でもあり、「牛肉弁当」が発売されてから50年ということでもあります。なぜなら、「牛肉弁当」は紀勢本線が全通したことを記念して誕生した駅弁だったからです。

       

パネル展を見て、その昔、DF50が牽引した寝台特急「紀伊」に乗って初めて南紀入りしたことを思い出しました。鉄道ファンならば時間を忘れそうな写真がずらりと展示されています。

       

下は2009年9月20日、砂丘の白兎さんが「紀勢本線開通50周年フィナーレ」号に乗車し、松阪駅で購入した「復刻版元祖牛肉弁当」第5弾。1380円。貴重な画像どうもありがとうございました。以下はコメントです。

      

「キハ82系ではなくキハ181系だけど…。 列車名は『紀勢本線開通50周年フィナーレ』だけど…。夕飯は 言うまでもなくこれ。ぴーちゃん、あんがとm(_ _)m

       

下は2009年7月31日、松阪駅前あら竹本店で購入した「復刻版元祖牛肉弁当」第4弾。1380円。この日から第4弾が発売されました。たまたま7月末から8月初めまで三重県に滞在していたため、ラッキーにも初日に買うことができたのです。さらに、三重に滞在中には第1弾から第4弾まで1個ずつ購入することもできました。

      

この復刻駅弁をひと言で言えば、醤油ダレと赤ワインとを絡めた黒毛和牛の網焼きをメインにした7種のおかずとご飯の2段重ね弁当です。懐かしい昭和の駄菓子がおまけとして付きます。

      

牛肉は噛めば噛むほど旨味が染み出して、本当に美味しいです。冷めるのを前提にして、冷めてもいかに美味しく食べさせるかという匠の技が生きています。

      

下は2009年7月15日、砂丘の白兎さんが松阪駅ホームで購入した「復刻版元祖牛肉弁当」第3弾。1380円。貴重な画像どうもありがとうございました。

      

おまけの昭和の駄菓子。駅弁1個に1つ付きます。その昔、「当たり前田のクラッカー♪」と若かりし頃の藤田まことさんがCMで宣伝していたのを知っている人はどれくらいいるでしょうか。

      

下の6枚は2009年7月15日、砂丘の白兎さんが乗車した「紀勢本線全通50周年記念号」でのスナップ。すぐ下の2枚は亀山駅での早朝の様子です。

      

下の4枚は松阪駅での「復刻版元祖牛肉弁当」販売イベント。モー太郎ついにデビュー。

      

この日は昔の懐かしい立売スタイルで駅弁を販売していたようです。昭和の時代には当たり前に見られた光景でした。

      

下は2009年7月30日、松阪駅近くのあら竹本店で購入した「復刻版元祖牛肉弁当」第2弾。津市内のホテルで賞味しました。

      

下は2009年6月14日、稲口町さんが亀山や関など、城巡りを中心に歴史を訪ねる東海プチ旅の途中、松阪駅で購入した「復刻版元祖松阪名物特撰牛肉弁当」。1380円。これは第2弾です。2009年6月1日から200枚限定で掛け紙が変わりました。貴重な画像どうもありがとうございました。以下はコメントです。

      

「松阪に戻り、城下町を歩きます。商店街は紀勢本線全通50周年記念の写真が各店の前に飾ってあります。駅に戻り、予約制のこの駅弁を購入。そうです、復刻版元祖牛肉弁当。第二版掛け紙です。早速いただきたいと思います。」

      

今回の掛け紙は昭和40年代に実際に使用していた「ディスカバー・ジャパンの国鉄PRロゴ入り」です。つまり、このキャンペーンが始まった1970年以降の掛け紙ということになります。

      

懐かしい昭和の駄菓子おまけ付き。下の画像(手)は稲口町さん。車窓を見ながらのご賞味。

      

下は2009年5月31日、砂丘の白兎さんのお友達が松阪駅で購入した「復刻版元祖牛肉弁当」。第1弾。貴重な画像どうもありがとうございました。以下はコメントです。

      

「6月から掛紙が変わってしまうとのことで、以前から“紀勢本線の※キハ80系と牛肉弁当”というイメージを持っている自分としては、いても立ってもいられず先日予約を敢行。駅売店にて購入させていただきたく、はるばる松阪にやって参りました。かつてはホーム上にも売店があったけど無くなったんですね…。画像では、おまけの駄菓子は「ココアシガレット」しか写しておりませんが、弁当は2つ購入していまして、もう1つには「前田のクラッカー」がついておりました。 クラッカー好きの自分にとってこれは嬉しかったです。個人的に紀勢本線の東側はキハ82『南紀』のイメージが強いので、もしこのヴァージョンの掛紙も登場してくれたら、かなり嬉しいかもしれません。ここの駅弁の現地購入は9年ぶり(当時はノーマルの「元祖 牛肉弁当」を購入)となりましたが、初めて食べた時の感動ここに再び! 御飯もおかずも温かくて更に感動!!温かいとお肉が実に美味しいですね! 変更点と思われる箇所は、ミカンがシロップ漬けのものになっていたところかな? キハ81『くろしお』またはキハ82『南紀』の車内で食べたい…でも、それは叶わぬ夢…(v_v) 帰りの列車の中で「あら竹駅弁通信」を読みつつ、今度は何を買おうかなぁ?と思いを巡らしていたのでありました(^_^)」

「※キハ80系  ボンネット型先頭車がキハ81、貫通型先頭車がキハ82を指しますが、共に同じグループなので今回はひとくくりに『くろしお』『南紀』を指せるキハ80系と表記しております。」

      

2009年で発売50周年のこの駅弁。ちょっとここで「元祖牛肉弁当」の歴史を掛け紙で振り返ってみましょう。下は1966年〜1970年頃の「牛肉弁当」。昭和40年代前半です。最初(1959年)は150円で販売されたそうですが、それから数年後の掛け紙だと思われます。

                

下も1966年〜1970年頃の「牛肉弁当」。上の掛け紙も下の掛け紙も、1969年に開店した「ドライブインあら竹」の記載がないため、おそらく1968年以前だと思います。

             

下は1970年代後半の「元祖松阪名物牛肉弁当」。こちらには「ドライブインあら竹」の記載があります。

                 

最後に、現在この「元祖特撰牛肉弁当」がどういうお弁当になっているかを紹介します。
左下は2002年8月28日に購入の「特撰元祖牛肉弁当」です。2002年の時は台風で特急南紀が運休になってしまい、さらにお目当てのうま〜いどん丼は買えず、おまけにモー太郎弁当は1ヶ月後に発売とあって当然買えず、「も〜最悪〜」という気持ちでした。し・か・し、「元祖」と名の付く牛肉弁当は裏切りませんでした。あったかごはんにやわらかい牛肉をほおばってしまえばすっかり機嫌も直り、「快速みえ」に揺られて帰途につきました。     

      

そして、下の中身画像は2003年11月10日。松阪駅の駅弁業者であるあら竹さんの駅弁通信販売を利用して次女の11歳の駅弁誕生パーティーをしました。あら竹さんからは左にあるバースデーカードまでいただき、恐縮すると共に、駅弁屋さんのお心遣いに心温まる思いがしました。

      

下は2009年7月28日、あら竹本店で購入した「特撰元祖牛肉弁当」1260円。

      

何度賞味してもごはんが美味しく食べられる駅弁だと思わずにはいられません。タレをからめた黒毛和牛(近年、松阪牛ブランドの規準が厳しくなり、最高級のもの以外は「松阪牛」と名乗れなくなったようです。念のため。)の内ももは厳選されていると見えて、とても柔らかく、タレとよく合っています。そんなわけで牛肉は当然おいしいのですが、付け合わせ、特に私のお気に入りはゴボウ煮ですが、これらも素朴でおいしいです。昆布佃煮など、ごはんに合うおかずばかりなので、本当にごはんが進みます。そのごはんも、ふっくらと炊きあがっていて満足できます。

      

半世紀の時を重ね、牛肉の質の良い駅弁として知名度も上がってきましたが、今後もこの質を維持させつつ、100周年に向かっていつまでも続いて欲しい駅弁だと思います。最近は加熱式で肉をより温かく美味しく食べさせる駅弁が隆盛を極めていますし、それも嬉しいことではありますが、駅弁文化の真髄は「冷めてもおいしく食べられる」ことにあると思います。それを庶民的な価格でありながら極めて高いレベルで実現しているのがこの「特撰元祖牛肉弁当」なのだと、私は確信しています。

      

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